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ま だ 歩 き 出 さ な い
2022.5.13
夢、未来、航海
 テオ・アンゲロプロス
 2009年頃のインタビューより――


 



 ―古代ギリシアの歴史には、どんな魅力がありますか? また、それらはあなたの作品に影響を与えていますか?

 たとえば私が子どもの頃は、ホメロスやギリシア悲劇の詩人たち、そして古代ギリシア文字は、当たり前のように学校のカリキュラムの一つでした。それが示すように、ギリシア神話は私たちの中に宿り、そして私たちもその中に存在している。私たちは古代の記憶・・・石や壊れた彫像、建築に溢れかえった土地に暮らしていますからね。だから、私の人生、私が選ぶ道、私の思想にそれらが染み込んでいないことはあり得ない。「私が夢に入っていくと、彼らはその夢から出ていった。そして、再びそれらを分かつのは困難だろう」と、かつて詩人が読んだように。



 


 



 ―あなたの映画において、「時間」は大変重要なポイントだと思います。

 時間は私たち自身なのです。すねわち、「過去であっても、未来であっても、時間は未来のうちにあるのだろう」ということです。



 



 ―ギリシアを知るために行くべき場所を教えていただけますか?

 まだ知られざるギリシア。それは、絶え間なく訪れる観光客によって消耗していない場所です。ギリシアの真実の姿を、ある程度保っている場所とも言えます。その国を知るためには、十分な時間と鋭い観察眼に支えられた深い好奇心が必要です。旅の成り行きに身を任せられる忍耐力も大切。それが達成できれば、いつしか「旅行」は「航海」に変わるのではないでしょうか。



 




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