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blueprint / memories
ま だ 歩 き 出 さ な い
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2022.9.2
隔たりの青 |
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"The Blue of Distance"
十八世紀の地図作成者ジャン・バティスト・ブルギニョン・ダンヴィルの言。「誤った理解を打ち砕くことは、それ以上のことをしなくとも、知識を前に進めるひとつの方法である」。未知の認識は知の一部であり、未知はテラ・インコグニタとして目に明かされる。けれども主題としてはみえないままだ。...
...耕地や主要都市を示した地図には断層や帯水層が描かれず、逆も然りであるのと同じことだ。紀元前百五十年ごろにクラテスというローマ人が作った地球儀は、地球には四つの大陸があり、そのうち三つは未知であるという説に基づいていた。そのややのちの時代に、プトレマイオスがその後千五百年間にわたって世界地理の基本文献となる地図を作成した。...
...ある地図史研究者によれば、「プトレマイオスは人間の居住地域に関するギリシア的な理解から脱却した。彼は水で囲まれた世界(ホメロス的な極限された世界という意味で)や、大陸付近を流れ巡る<オケアノス>という考えを棄て、それらに代わって、恣意的に描いた境界線の向こうは未知の土地(テラ・インコグニタ)があるという可能性と蓋然性を認めたのだった。それは、別のいい方をすればこの問題をのちの調査に委ねるということだった」。...
...自分が知っていると想像すること、つまり未知を推測で埋めあわせることは自分が知らないと知ることとはまったく違う。こうした古い地図にはその両方の心理が現れている。理想郷と未知の土地...もしかすると、空想は地図が抱え込む未知を声高に名指す代わりに、埋め合わせようとするのかもしれない。
text:"The Blue of Distance"
レベッカ・ソルニット『迷うことについて』(東辻賢治郎 訳)より抜粋
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