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blueprint / memories
ま だ 歩 き 出 さ な い
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2023.5.30
平原の暮らし
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"Plain Life"

...べつに、住むには都会がいいか、いなかがいいか、と一般的な問題として考えてみたいわけではない。ただ自分の暮らしの具体的な毎日のことが問題なのだ。...

...このシャンペンという小さな共同社会も、わたしにとっては、いなかという言葉で括ってしまえばすむものでもない。シャンペンという地名は、わたしにとっての、ここ、と、いま、なのだ。...

...たしかにここでの暮らしはこれまで、いつもどこか現実感がなかった。ここに住んでいる、という芝居をしているような気持ちになることもあった。とはいえ、ひどく矛盾するようだが、自分は「よそ者」と思うこともあまりない。...

...さらにいえば、どこにいても、「よそから来たような」気持は消えない。そういえば、それは子供のときから今日までずっと持続してきた気持なのだ。...

...いつも、いまのわたしは仮の姿だ、という感じがあった。やがてここではないどこかへ行くだろう、そして、やがていまではないいつかが向こうからやってくるだろう、というような覚束ない暮らしの感覚なのだろうか、これは。...

text:"平原の暮らし"
藤本和子『イリノイ遠景近景』より抜粋
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