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blueprint / memories
ま だ 歩 き 出 さ な い
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2024.1.1
低く漂うような雲
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"In Watermelon Sugar"
...「きみの本のほうはどんな調子かね」と学校の先生がいった。「うまくいってますよ」とわたしはいった。「すごく読みたいんだよ」学校の先生はいった。「きみはいつだって言葉を使うのが上手だった」きみが六年生だったときに書いた、天気についての作文、まだ憶えているよ。あれは大したものだった。...
...冬の雲のことを描いたところはとても正確だったし、感動的でもあった。詩的な内容があったのだ。きみの本は、ほんとうに読んでみたいんだよ。どんな本なのか、ちょっと、ちょっとだけでも聞かせてくれないかい?」...
...フレッドは退屈していた。子供たちのところへ行って、一緒に坐った。ひとりの少年になにか話していた。「天気のことについて書いたあの作文の続きなのかい、それとも、べつのことかい?」少年はフレッドの話にとても興味を持った。ほかの子供がふたり近寄って行った。「そうね、まあ、ただ調子よく進んでいるってだけで」とわたしはいった。「とても説明しにくいんです。でも、できたら、真っ先に読んでください」...
...先生は生徒たちになにかとても大切なことを教えていた。かれがわたしのほうを指して、それから頭の上、低く漂うような雲を指さしたので、わたしにはそうとわかったのだ。
text:"In Watermelon Sugar"
リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』(藤本和子 訳)より抜粋
(2024 元旦)
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