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道 に 出 た ら あ と は 進 む だ け
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2024.8.1
どこ吹く風
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"Curry au Riz"

...それにしても、日本人の異常なほどのカレー好きは、いったいどこからきたのだろうか。日本料理にも、辛いものはある。まず、にぎりずしにそえられるワサビが辛い。フグの刺身につけるもみじおろしも辛い。おでんにそえる和辛子も辛いし、唐辛子をまぶした「柿の種」というおせんべいも辛い。

日本国に唐辛子が到来したのは、いまから約四百年も前だというから、日本人の唐辛子好きにはかなりの年期が入っている。辛子もまた「辛子れんこん」「辛子あえ」「辛子味噌」「辛子醤油」「辛子漬」など、単調な日本料理の中ではまあ異彩を放つ存在だけれど、辛子はどこまでいっても料理の脇役で、メーンとして使われることはない。

そこへゆくと、「カレー」の躍進はなんともめざましい。わずか百年も経たぬうちに、おふくろのドロリカレーから、カレーうどん、カレーパン、軽食堂のカレーライスから家庭用のインスタント・カレー、と、とどまることなく蔓延して、高級レストランのコンチネンタルのメニューにまで現れるようになったのだから大変な出世?
である。カレー粉の主原料となる「コリアンダー(中国語では香菜)」の輸入にしても、一九五七年には二十万トン足らずだったのが、一九八〇年には二百万トン(約十倍)ハネ上がったというのだから、日本人がいかに「カレーライス」を食い狂っているか、ということである。

しかし、なにごとにつけても、自分自身の眼や舌でシカと見定めない限りは納得ができない、という因果な生まれつきの私は、いつかは本場のカレーを味わってみたい、と思い続けていた。その私が、はじめてカレーの国を見たのは、昭和三十三年、夫婦でヨーロッパを旅行したときのことである。マルセイユから横浜まで、フランス船「ベトナム」に乗って帰国の途中、船は、ボンベイに入港した。...

text:「眼から芽が出た」
高峰秀子『私、ホントに食いしん坊なんです』より抜粋
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